改訂新版 日本の野生植物 4: アオイ科~キョウチクトウ科

刊行発表から発行が度重なり延期されてほぼ1年遅れで発売されたが、まずは大幅な延期で星をマイナス1点。ここまでの延期の理由はだいたい校閲でなかったことは想像つくが、執筆計画の段階で無理や問題があったのではないか？今回の増補改定では図版をまとめているので分量の比較がしやすいがほぼ半分(ページ数ではなく)が図版で占められていて、情報量の面で心配になる配分になっている。本日到着して流し読みの段階だが、まず気になったのが一部の種の記載において、国内の分布が記載されていないものがあること。同定ではある意味、決め手になる情報であり、分布域の情報は必須のはずだが抜けているものがある。分布では北から南に記載するケースと南から北に記載するケースが混在しており、この点も気になった。植物分類地理学の地理学の部分なのできちんと統一して記述するべきだったのではないか？(監修者が第一人者達なので今更言うことでもないが)また、1科1種の記載において図版が用意されていないものが複数あったのも気になった。科レベルでは最低限1種の例示がないとその科の特徴がわからないと思うのだが、分子分類に依存する現代の分類学では種の形態などには意味を見出さないのだろうか？その他、図版の大きさに統一ルールが見出せなかった点など、編集面には多数の問題があった。以上から前巻の状態よりは多少ましとはいえ、大きく改善したものではないので、前巻同様の評価です。金額分の価値はないと思います。私は買いましたが。