古酒礼賛―熟成の刻は、ワインを磨く。

著者はテレビの健康番組でお馴染みの秋津医師。長年にわたって蒐集した古酒を、その来歴やエピソード、味わいなどともに披露しているのが本書である。これが予想外に面白い。1929年のイケムやら1966年のロマネ・コンティなど、当方には一生縁のないワインの話はもちろんだが、随所に顔を出す怪しいワイン達はそれにも増して興味深い。ヴォルネィの白とか瓢箪型のボトルに入ったシャンパーニュとか。こういう変なワインに出会ったら最後、買わずにはいられない体質らしいのだ。古酒ラバーのお仲間と夜な夜な上等なレストランに繰りだし、あーだこーだと古酒を鑑定している様子は心底楽しそう。だからいつ観てもこぼれるような笑顔なんですね、秋津先生。うらやましいぞ！