日経 おとなの OFF (オフ) 2011年 12月号 [雑誌]

日本人にとって最も身近なクラシックの一つ、年末になると各地で演奏されますが、何故これほどまでに私達は第九が好きなのでしょうか？ということで本号は、第九の入門特集です。ベートヴェンは、合計9曲のSyn.を作曲していますが、、Syn．1、2はハイドン、モーツアルトの影響を受けていますが、Syn.3で独自の世界を構築し、Syn.9に至ります。そして第九は第4楽章に声楽が入り、新しい楽器も使用され、ソナタ形式の集大成となっています。本誌は、ベートヴェンのSyn.9曲を解説し、さらに第九は各楽章をも解説しています。次いでシラーの詩（昔から沢山の歌曲が作られていました）、Syn.の基礎用語、第九の歴史、最終Syn.列伝、ベートーヴェン小伝、ベートヴェン人間曼荼羅等コラムも豊富で、読み応えがあります。しかし、最大の読み物の一つは、佐渡さんのインタヴューでしょう。佐渡さんは、3.11以降、ドイツデュッセルドルフ市から第九演奏のオファーがありましたが、こんな状況で振れるのか自問自答し随分悩んだそうです。しかし、世界中の人々がこの第九で手を繋ぐ事ができると考え、演奏を受諾したそうです。また、彼は、第九を150回以上振ったが、海外の指揮者は、1度も振ったことのない人が多いのんちゃうかと言っています（海外では、第九は大きな行事、祝祭時に演奏され、普段はめったに演奏されません・・・お金もかかりますしね）。そして、第九の名盤ですが、まずは、フルトヴェングラーCo.のバイロイト盤でしょうが、音質は悪いです。最近の物では、バーンスタイン盤、カラヤン盤でしょうか？付録として一緒に歌える完全歌詞BOOK（独語の歌詞にカタカナのルビ付き）、そして、ティーレマCo.WPO.の第九の第4楽章のDVDがついています。オーケストラの配置がストコフスキー式でないので、少し違和感があります。思い起こせば、私も30代前半から年末になると朝比奈さんの第九の演奏会に行っていました。小林さん、井上さん等にも行きましたが、私には、朝比奈さんの指揮のものが一番あっていました。第九が終わると照明が落とされ、蛍の光のコーラスが始まります。これを聴いているとその年にあったことが色々思い出され胸にこみ上げてくるものがありました。ニュースで朝比奈さんの体調が悪いと聞いていましたので、今年はどうかなと思っていましたが、元気で指揮をされました。しかし、これが最後になりました。堂々と指揮をされ、ティーレマンより心に迫るものを感じましたが・・・今号は、中々読み応えのある特集です！！！