自由になるトレーニング

タイ在住のテーラワーダ仏教僧プラユキ・ナラテボー師、プロブロガーのイケダハヤト氏、四コマ漫画エッセイストのヒビノケイコ氏の三人による鼎談集。以前からプラユキ師に師事しているヒビノ氏と、スマナサーラ長老との対談などを機にテーラワーダ仏教への関心を深めたイケダ氏が、生徒役になってプラユキ師から仏教について学ぶ構成となっている。既に本などで仏教について学び、頭の中では理解が進んでいるイケダ氏は、日々の生活の中で理屈としては分かっているが、なかなか実践として仏教を活かせないとプラユキ師に語る。それに対しプラユキ師は、本などで学んだ知識を身体で身につけるために寺がある。寺とは本来、心のトレーニングジムなのだと指摘をする。そして、気づきの瞑想が上達するに従い、早い段階で感情の動きに気づけると、「心の奴隷」ではなく、「心の主」となれるという。そうしたプラユキ師の説明を聞いたイケダ氏は、現代において僧侶とは「心のプロフェッショナル」なのではないかと考えるようになる。仏教の現代的な意義を理解する上で、入り口となる一冊と言えるだろう。